ベトナムを世界的な製造拠点へと成長させた要因が、今度は同国を世界水準のオフショアソフトウェア開発拠点へと押し上げていると考えたことはありますか。ベトナムは、国際水準に対応した多様なソリューションを提供するオフショアソフトウェア開発サービスの有力な提供拠点として、急速に存在感を高めています。20年以上にわたり、東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済変革を間近で見ながら、高成長市場への進出を図る国際企業を支援してきました。
今や、ベトナムの成長ストーリーは製造現場だけのものではありません。デジタルイノベーションもその中心にあります。本稿をお読みの最高技術責任者(CTO)、スタートアップ創業者、テクノロジー分野のリーダーにとって、ベトナムは、製品を構築し、事業を拡大し、イノベーションを推進するための戦略的な選択肢となっています。ベトナムのオフショアソフトウェア開発会社や開発拠点と協力することで、長期的な価値、専門的な技術力、そしてテクノロジー戦略を支える基盤を確保することができます。単に開発者を探すのではなく、長期的なテクノロジーパートナーを見つけるという発想が重要です。
主なポイント
- スキルとコストのバランス: ベトナムは、専門性を備えたIT人材と競争力のあるコスト構造を組み合わせた、戦略的なオフショア開発先となっています。企業はベトナムのオフショアソフトウェア開発サービスを活用することで、開発コストの最適化を図ることができます。
- 大規模なIT人材基盤: TopDevの「ベトナムIT市場レポート2024–2025:ベトナムのIT・テック人材動向」によると、ベトナムにはIT・テクノロジー関連分野で働く人材が約56万人おり、年間5万5,000~6万人規模のIT系学生が存在します。この人材基盤が、多様なオフショアソフトウェア開発サービスを支えています。
- プロジェクト委託を超えたモデル: 単発のプロジェクトアウトソーシングだけでなく、構築・運営・移管(BOT)のような戦略的モデルも利用されており、企業が自社専用のテクノロジーチームを構築する選択肢となっています。
- コストだけでは不十分: アップスタック・スタジオ(Upstack Studio)の2025年の分析では、ベトナムのオフショアソフトウェア開発の平均時間単価は約31.75米ドルとされています。一方、パートナーシップを成功させるには、知的財産(IP)の保護、コンプライアンス、法務ガバナンスへの十分な対応が不可欠です。
- 長期的な成長環境: 文化的な親和性、人材育成、政府によるテクノロジー分野への支援などは、長期的なオフショア開発体制を構築する際のベトナムの強みとなっています。
はじめに:オフショアソフトウェア開発拠点として台頭するベトナム

製造現場からデジタル分野の成長拠点へ。ベトナムの経済発展は、戦略的な成長の一例といえます。製造業への巨額の外国直接投資(FDI)を呼び込んだ品質向上、人材育成、インフラ投資への取り組みが、現在ではテクノロジー分野の発展も後押ししています。
ベトナムのテクノロジー分野における成長は、現地の専門知識や業界別のドメイン知識にも支えられており、企業は各産業のニーズに応じたソリューションを提供できるようになっています。政府もデジタル経済の発展を積極的に推進し、イノベーションを支えるエコシステムの形成を進めています。これは短期的なトレンドというよりも、経済構造の変化です。ベトナムは単なる代替的な開発先から、有力な開発拠点の一つへと移行しています。
本記事の対象:CTO、スタートアップ創業者、テクノロジー調達責任者
本記事は、限られた経営資源でより多くの成果を求められる意思決定者を対象としています。製品ロードマップを加速させたい、レガシーシステムを刷新したい、あるいは品質を維持したままエンジニアリング能力を拡大したい。しかし、自社だけで大規模な開発チームを構築することは避けたい。そのような場合、オフショア開発は有力な選択肢となります。適切なオフショアパートナーは事業成長を支える手段となり得ます。そのため、単に低コストでコードを開発できる場所ではなく、より広い価値を提供できる拠点を選ぶことが重要です。
Viettonkinの視点:テクノロジー成長とクロスボーダー・ガバナンス
Viettonkinでの業務を通じて、私たちはテクノロジー投資と国際ビジネス戦略が交差する現場に携わっています。急成長する企業が直面する問題は、必ずしも技術上の課題だけではありません。法務やコンプライアンスが事業拡大の障害となるケースも数多くあります。
オフショア戦略を成功させるには、優れたベンダーを探すだけでは不十分です。オフショアパートナーとの協業には、社内チームの管理とは異なる課題があるため、リスクを管理できる運営体制を構築する必要があります。テクノロジーの可能性と実務的なガバナンスの双方を重視することが、当社の基本的な視点です。
ベトナムと世界の主要オフショア開発拠点との比較
コスト比較:ベトナム、インド、フィリピン、東欧
率直に言えば、コストはオフショアリングを検討する大きな理由の一つです。この点で、ベトナムは競争力を持っています。アップスタック・スタジオ(Upstack Studio)による2025年のオフショアソフトウェア開発単価の分析では、ベトナムの平均時間単価は約31.75米ドルとされています。同分析では、フィリピンが約31.08米ドル、インドが約29.37米ドルである一方、東欧の複数市場ではこれを上回る水準となっています。したがって、ベトナムはインドやフィリピンと同程度の競争力を持ちながら、東欧市場と比較するとコスト面で優位性を持つケースがあります。ただし、重要なのは時間単価だけではありません。その投資によって得られる人材、品質、専門性、運営上の安定性を含めた総合的な経済価値を見る必要があります。
北米、欧州、アジア太平洋地域との時差を活用
ベトナムの標準時はグリニッジ標準時プラス7時間(GMT+7)です。クライアント所在地との時差を活用することで、開発時間帯を補完し、継続的に作業を進める体制を構築しやすくなります。欧州や中東とは一定の営業時間の重複を確保でき、北米企業の場合には、米国側の勤務終了後に要件を引き継ぎ、ベトナム側がその後の時間帯で開発を進めるといった運用が可能です。アジア太平洋(APAC)地域の企業とは時差が比較的小さく、よりリアルタイムに近い連携が可能です。
ベトナムの開発者エコシステムと人材プール

約56万人のIT・テック関連人材と年間5万5,000~6万人規模のIT系学生
オフショア開発では、必要に応じてチームを拡大できる人材基盤の規模が重要です。これはベトナムの大きな強みの一つです。TopDevが発行した「ベトナムIT市場レポート2024–2025:ベトナムのIT・テック人材動向」によると、IT・テクノロジー関連分野で働く人材は約56万人に上ります。また、年間のIT・コンピューターサイエンス関連学生は約5万5,000~6万人規模とされています。こうした人材パイプラインは、グローバルプロジェクトに対応する開発者やテクノロジー人材の供給を支えています。
英語対応力と拡大するクラウド・AI分野の能力
技術力に加えて、オフショア開発ではコミュニケーション能力も重要です。ベトナムのテクノロジー人材では、特に国際的なアウトソーシング分野で働く若い世代を中心に、英語による業務対応力が重視されています。技術面でも、従来のソフトウェア開発だけでなく、クラウドコンピューティング、人工知能(AI)、機械学習(ML)、データエンジニアリングといった高付加価値領域へと対応範囲が広がっています。クラウドサービスやクラウドソリューションに関する専門性も高まり、グローバルクライアント向けのスケーラブルなデジタルトランスフォーメーション支援につながっています。
政府と民間部門の連携:VINASA、VNITO、R&D拠点
こうした成長は、企業だけによるものではありません。政府に加え、ベトナムソフトウェア・ITサービス協会(VINASA)やベトナム・デジタル技術アライアンス(VNITO Alliance)などの業界団体も、ベトナムのテクノロジー産業の振興に取り組んでいます。業界イベント、国際的なビジネスマッチング、人材育成、ソフトウェアアウトソーシング企業間の連携などを通じて、国内企業と海外市場との接点を拡大しています。テクノロジーパークや研究開発(R&D)拠点の整備も、イノベーションを支える環境づくりにつながっています。こうした取り組みは、教育、医療、金融、メディアをはじめ、さまざまな産業のデジタル化を後押ししています。
ベトナムに委託される主要技術とサービス
Web・モバイル開発:React、Flutter、Node.js、.NET
ベトナムの開発チームは、現在広く利用されているテクノロジースタックに対応しています。Reactを使用したレスポンシブWebアプリケーションの開発から、Flutterを利用したクロスプラットフォーム・モバイルアプリまで、幅広い開発ニーズに対応できます。フロントエンドとバックエンドの双方に対応する開発企業も多く、設計から開発、テストまでを含むエンドツーエンドのソリューションを提供できます。
AI・ML、ブロックチェーン、組み込み、クラウド、品質保証・テスト
ベトナムで提供されるサービスは、一般的なWeb開発だけに限定されません。上位のソフトウェア開発企業では、より複雑な技術分野にも対応しています。
- 人工知能(AI)・機械学習(ML): 機械学習モデルの構築・学習。
- 業界別AIソリューション: 医療や製造業など、具体的な業界ニーズに合わせたAIソリューション。
- コンピュータービジョン: 画像解析や物体認識。
- ブロックチェーン: 分散型アプリケーションの開発。
- ゲーム開発: 各種プラットフォーム向けのインタラクティブゲーム開発。
- クラウドエンジニアリング: アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)などを利用したスケーラブルなインフラの設計・運用。
- 品質保証(QA)・テスト: ソフトウェア品質を確保するための手動テストおよび自動テスト。
ベトナムにおけるオフショアソフトウェアのセキュリティ

ベトナムがオフショアソフトウェア開発の有力な拠点となるにつれて、ソフトウェアアプリケーションや企業データのセキュリティは、クライアントとサービス提供企業の双方にとって重要なテーマとなっています。オフショアソフトウェア開発におけるセキュリティは、付随的な要素ではなく、サービス品質を構成する重要な要素です。
ベトナムのソフトウェア開発会社の中には、サイバーセキュリティに関する専門人材や管理体制への投資を進める企業があります。海外のクライアントは、革新的なソフトウェアだけでなく、機密データや知的財産を適切に保護できる体制も求めています。こうした要求に対応するため、データ暗号化、ファイアウォール、多要素認証を含むアクセス制御などを導入し、不正アクセス、データ漏洩、サイバー攻撃への対策を行う企業があります。
また、ベトナムのオフショアソフトウェア開発企業の中には、情報セキュリティマネジメントシステムに関する国際規格ISO/IEC 27001の認証を取得している企業もあります。こうした認証や管理体制は、情報管理やソフトウェア開発における国際的なベストプラクティスへの対応を示す一つの指標となります。国際的なクライアントにとっては、カスタムソフトウェア、Webアプリケーション、モバイルアプリなどの開発プロジェクトにおけるセキュリティ・ガバナンスを評価する材料となります。品質保証もオフショアソフトウェア開発における重要なプロセスです。開発者やセキュリティ担当者が、必要に応じてペネトレーションテスト、脆弱性評価、パフォーマンステストなどを行い、リリース前に潜在的な問題の特定と修正を図ります。
これにより、ソフトウェアのパフォーマンスだけでなく、変化するサイバー脅威への耐性も高めることができます。また、一部の開発企業では、人工知能や機械学習などの新しい技術を、セキュリティ監視や開発プロセスの高度化にも活用しています。異常の検知、脆弱性への対応、セキュリティ業務の自動化などは、AIや機械学習の活用が期待される領域です。
ソフトウェア開発とサイバーセキュリティの双方に専門性を持つチームを構築することで、イノベーションの速度とデータ保護を両立することが重要になります。効果的なコミュニケーションも、安全なオフショアソフトウェア開発を支える要素です。
ベトナムのオフショア開発チームでは、Slack、Jira、Zoomなどのコミュニケーション・プロジェクト管理ツールを利用し、異なるタイムゾーンにいるクライアントと情報共有を行っています。これにより、要件、セキュリティ上のルール、問題点を共有し、地理的に離れた環境でも迅速に対応することが可能になります。
ベトナムの複数のソフトウェア開発企業は、セキュリティと技術品質への取り組みを進めています。例えば、KMS Technologyは情報セキュリティ管理体制を整備し、ISO/IEC 27001認証を取得しています。Orient SoftwareもISO/IEC 27001認証を取得し、ソフトウェア開発とセキュリティを組み合わせたサービスを展開しています。TECHVIFY Softwareは、AIや機械学習を含むソフトウェア開発技術を活用しながら、セキュリティやデータ保護を考慮した開発に取り組んでいます。
ベトナムをオフショア開発先として選択する企業は、コスト面のメリットだけでなく、専門技術、品質保証、セキュリティ対応力を組み合わせて評価する必要があります。カスタムソフトウェア、Web、モバイルアプリなど、どの分野であっても、開発会社ごとの専門性や情報セキュリティ体制を確認することが重要です。その意味で、ベトナムは単なる低コストの開発先ではなく、適切なパートナーを選ぶことで、イノベーションとデータ保護の双方を支える戦略的な開発拠点となり得ます。
固定スコープ、タイム・アンド・マテリアル、専任チーム
オフショア開発の契約・運用形態には複数の選択肢があります。
- 固定スコープ: 小規模で要件が明確なプロジェクトに適しています。特定の成果物について、固定価格で合意します。
- タイム・アンド・マテリアル: プロジェクトの進行とともに要件が変化する可能性がある場合に適しています。実際に投入した作業時間などに応じて料金を支払います。
- 専任チーム: 長期的な協業で広く利用されるモデルです。クライアント専属のチームを編成し、社内開発チームを拡張するような形で業務を行います。専任のオフショア開発チームを構築することで、必要に応じた人員拡大、専門人材へのアクセス、複雑な技術課題への継続的な対応が可能になります。
構築・運営・移管(BOT)と注目される理由
長期的な開発拠点の構築を検討する企業にとって、BOTモデルは戦略的な選択肢となります。これは、Viettonkinのような現地パートナーが、チームや運営基盤の立ち上げから最終的な移管までを支援するモデルです。
- Build(構築): オフショアチームの採用や、必要となるインフラ・運営体制の立ち上げを行います。
- Operate(運営): 一定期間、人事、給与計算、コンプライアンスなどを含めてチームの運営を支援します。
- Transfer(移管): チームと運営体制が安定した段階で、運営可能な組織・拠点をクライアントへ移管します。
このモデルによって、新しい国で一から組織を構築する初期リスクを抑えながら、最終的には自社専用のテクノロジー拠点を持つことが可能になります。
プロジェクトアウトソーシングからオフショアチーム統合へ移行するタイミング
小規模なプロジェクトから始め、パートナーの技術力や成果物の品質を確認する方法は合理的です。その後、継続的な開発需要が生じ、自社の事業目標を支える技術チームが必要になった段階では、専任チームモデルへの移行を検討できます。長期的なチームを構築することで、業務上の方向性を合わせやすくなり、プロジェクトに関する知識もチーム内に蓄積されます。結果として、オフショアベンダーとの関係を、単発の請負関係から戦略的なパートナーシップへ発展させることができます。
ベトナムにおける法務、コンプライアンス、知的財産保護
オフショア開発契約におけるIPの適切な取り扱い
コスト削減が実現しても、知的財産が適切に保護されていなければ、オフショア戦略の価値は大きく損なわれます。ベトナムでは、2005年知的財産法(法律第50/2005/QH11号、2022年改正)により、コンピュータープログラムはソースコード、オブジェクトコードのいずれの形態であっても、文学的著作物と同様に著作権の保護対象となります。著作権譲渡契約については、同法第46条に基づき、書面で締結する必要があります。そのため、オフショア開発契約では、成果物、ソースコード、著作権その他のIPについて、誰が権利を保有するのか、どの権利をどの範囲で譲渡または利用許諾するのかを明確に規定することが重要です。一方、著作権は、著作物が創作され、一定の物質的形態で表現された時点で発生します。知的財産法第49条では、著作権登録は権利を享有するための必須手続きではないことが明記されています。したがって、ソフトウェアについて「作成から6か月以内に知的財産当局へ登録しなければ権利を行使できない」という一般的な義務はありません。また、コンピュータープログラムそのものは原則として特許保護の対象となる発明には該当しませんが、技術的な発明については、別途、特許法上の保護要件を検討する必要があります。
コードの所有権、データアクセス、労働法に関するリスク管理
適切なガバナンス体制は、開発者の技術力と同じくらい重要です。機密情報を保護するためには、誰がどのデータやシステムへアクセスできるのかについて明確なルールを設ける必要があります。また、オフショアパートナーがベトナムの労働関連法令を遵守していることも確認し、法務・レピュテーション上のリスクを抑える必要があります。こうしたガバナンスの視点は、単にベンダーの技術力だけを比較する場合には見落とされやすい重要な要素です。
実際のコスト水準と経済的価値
時間単価、給与水準、スプリント当たりのコスト
ベトナムのオフショアソフトウェア開発者の平均時間単価は約31.75米ドルです。同調査では、米国は約87.88米ドルであり、複数の西欧・東欧市場についてもベトナムを上回る水準が示されています。実際の単価は、開発者の経験年数、専門技術、プロジェクトの複雑性、契約モデルなどによって異なります。スプリント単位で考える場合にも、単価の差によって、同じ予算でより多くの開発リソースを確保できる可能性があります。
オンショア・ニアショアとの総所有コスト比較
適切な判断には、時間単価だけでなく総所有コスト(TCO)を見る必要があります。オフショアチームでは、開発単価が低くても、プロジェクト管理、コミュニケーションツール、品質管理、出張、ガバナンスなどのコストが発生します。それらを含めたうえでも、ベトナムのオフショアチームは、案件の条件によって競争力のあるTCOを実現できる可能性があります。結果として、研究開発や製品開発に投入できる資源を増やし、投資利益率(ROI)の向上につなげることができます。
スタートアップと大企業:オフショアリングで異なるニーズ
スタートアップが求めるのはスピード、柔軟性、リーンな文書化
スタートアップでは、素早く検証と改善を繰り返せるかどうかが重要です。そのため、変化する要件に柔軟に対応し、リーンな開発プロセスに慣れたオフショアパートナーが必要になります。特に、実用最小限の製品(MVP)を迅速に市場へ投入することが重要な目標となります。
大企業が求めるのは規模、プロセス、コンプライアンス、SLA
大企業では優先事項が異なります。大規模な開発に対応できること、体系化されたプロセスを持つこと、厳格なサービスレベル合意書(SLA)に対応できることなどが重要になります。セキュリティ、コンプライアンス、詳細な文書管理も重要な要件です。成熟したベトナムのソフトウェア開発企業の中には、スタートアップ型の柔軟な開発から、大企業向けの大規模な開発体制まで対応する企業があります。
コードだけではない、ベトナムの強み
文化的な親和性とチームの定着
ベトナムの人材は、勤勉さや長期的なチーム形成という観点から評価されることがあります。アウトソース・アクセラレーター(Outsource Accelerator)も、従業員のバーンアウトを抑えるためのジョブ・クラフティングなど、人材定着に関わるテーマを取り上げています。オフショア開発においては、単純に「離職率が低い」と想定するのではなく、ベンダーごとの人材定着率、採用・育成体制、チーム運営方法を確認することが重要です。チームの安定性を維持できれば、プロジェクトの継続性とナレッジの蓄積というメリットにつながります。
大学との連携、インキュベーションセンター、投資優遇
ベトナムでは、大学とテクノロジー企業の連携が進み、産業界のニーズを踏まえた人材育成が行われています。また、インキュベーターやコワーキングスペースのネットワークも拡大し、スタートアップやイノベーションを支える環境が形成されています。政府も、ソフトウェア製品の製造など一定のテクノロジー関連活動について、要件を満たす場合に投資・税制上の優遇措置を設けています。こうした制度も、ベトナムのデジタル・テクノロジー産業の発展を支える要素です。
グローバル連携を支えるバイリンガルの中間管理職
オフショア開発を成功させるうえで、プロジェクトマネジメントは極めて重要です。ベトナムでは、国際案件を経験し、英語などを利用して本社と現地チームの間を調整できるプロジェクトマネージャーも増えています。こうした人材は、本社と開発チームをつなぐ橋渡し役となり、コミュニケーションの明確化とプロジェクトの円滑な実行を支えます。
Viettonkinによるオフショア開発支援
法務、採用、IP、コンプライアンス、BOTモデル
Viettonkinは、オフショア開発を成功させるための運営基盤づくりを支援します。単なるベンダー選定にとどまらず、技術開発以外の領域にも対応します。
- 法務ストラクチャリング: 契約が関連法令に適合し、IPの帰属や利用条件が明確になるよう支援します。
- 採用・人事: 人材採用、給与計算、ベトナムの労働法令への対応を支援します。
- BOTモデル: 自社専用の開発拠点を構築したい企業向けに、建設・運営・移転(BOT)の各段階を支援します。
事例:ベトナムのエンジニアリング人材を活用した米国フィンテック企業の規模拡大
弊社は、投資家とのマイルストーンを達成するためにエンジニアリングチームを迅速に拡大する必要があった米国のフィンテック系スタートアップを支援しました。有力な開発ベンダーとの専任チーム契約の構築を支援し、IP保護に関する条件も契約上明確化しました。6か月以内にホーチミン市で15名体制のチームを構築し、同社は製品ロードマップを約1年前倒しすることができました。これは、オフショア開発を単なるコスト削減ではなく、戦略的な事業拡大手段として活用した一例です。
結論:ベトナムの魅力は「安さ」だけではない
ベトナムを単なる開発委託先ではなく、テクノロジーパートナーとして捉える
ベトナムへのオフショアリングについての考え方は、単なる低コスト人材の確保から変える必要があります。重要なのは、事業成長に必要な人材、安定性、拡張性を提供できる戦略的なテクノロジーパートナーを見つけることです。ベトナムには、この3つを組み合わせることのできる環境があります。適切なパートナー、契約、ガバナンス体制を整えることで、ベトナムは単なる開発委託先ではなく、長期的なテクノロジー戦略を支える拠点となり得ます。
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