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トランプ政権第2期:関税政策がベトナム・米国の貿易関係に与える影響

ドナルド・トランプ氏の米国大統領としての第2期は、「アメ…

Ardian Susanto 執筆者
· 1 分で読めます

ドナルド・トランプ氏の米国大統領としての第2期は、「アメリカ・ファースト」を掲げた大規模な政策転換の波をもたらしました。国内産業の保護、エネルギー自立の推進、そして国際貿易関係の再構築に改めて重点を置く同政権の姿勢は、世界各国に大きな影響を及ぼしています。その影響を最も強く受ける国の一つが、米国にとって重要な貿易相手国であるベトナムです。関税がトランプ政策の要となるなか、ベトナムと米国の経済・貿易関係は複雑な形で変化していくとみられます。本稿では、トランプ政権の政策全体像と、それがベトナム・米国の貿易関係に与える具体的な影響について、政権の関税を軸としたアプローチに焦点を当てて考察します。

ベトナムへの影響

トランプ大統領は、第2期の開始当初から、米国の通商政策を再構築する強い意志を示してきました。その中核が「アメリカ・ファースト通商政策」であり、貿易赤字の削減と、関税の活用拡大による米国産業の保護を優先するものです。政権は、世界的な貿易不均衡に関する調査を提案しており、その是正策として「全世界を対象とした追加関税」なども選択肢に挙げています。

2025年4月2日には、トランプ大統領が相互関税を発表し、ベトナムには46%という最高水準の税率が課されました(4月9日発効予定)。しかし、4月9日に中国を除く各国を対象に90日間の停止が決定されたため、現時点でベトナム製品には一律10%の基本関税が適用されており、46%の相互関税は7月上旬まで停止されています。ベトナムは、米国の貿易赤字への寄与度で、中国、メキシコに次ぐ第3位です(2024年の対ベトナム財貿易赤字は1,235億米ドル)。ベトナム政府は4月23日に米国との交渉を正式に開始し、5月19〜22日にはワシントンで第2回技術協議、6月4日にはパリで閣僚会合が開催されました。6月中旬には第3回技術協議が予定されています。

ベトナムは難しい立場に置かれています。関税が引き上げられれば、繊維・衣料、電子機器、家具といった主要な輸出分野に大きな影響が及ぶ可能性があるためです。これらはベトナム経済にとって極めて重要な産業であり、コスト上昇により、米国市場での競争優位を失うおそれがあります。

米中貿易戦争:ベトナムにとっての思わぬ追い風

同時に、トランプ政権の政策は、ベトナムに機会ももたらしています。米中間の関税の応酬を背景に、多くの多国籍企業が代替の製造拠点を探しており、ベトナムはその有力な移転先として浮上しました。米中間は、5月12日のジュネーブ合意で90日間の関税引き下げ(米国の対中関税は145%から30%へ、中国の対米関税は125%から10%へ)に入り、6月9〜10日のロンドン協議で枠組みに合意したと報じられていますが、先行きは不透明です。こうした状況にあっても、戦略的な立地、競争力のある人件費、堅調な産業インフラを備えたベトナムは、中国から振り向けられる投資を呼び込む上で有利な立場にあります。この流れは、ベトナムの産業用不動産と物流セクターを後押しし、グローバルなサプライチェーンにおける同国の役割を強化する可能性があります。

ただし、その恩恵は、監視の強化というリスクによって和らげられます。ベトナムからの輸出品に中国産の原材料が使われていることへの懸念から、貿易調査が厳格化され、ベトナムと米国の貿易関係が複雑になる可能性があります。ベトナム政府は、中国産品を経由した迂回輸出の取り締まりに協力する姿勢を示しています。

気候・エネルギー・環境

エネルギー政策も、トランプ政権が大きな変化を推し進めている分野であり、ベトナムにも影響が及びます。「エネルギー支配」を掲げる政権は、化石燃料の国内生産の拡大と、特に液化天然ガス(LNG)を中心とする輸出の拡大を進めています。これは、ベトナムにとって、エネルギー輸入を多様化すると同時に、対米貿易黒字への対応を図る機会となります。エネルギー分野の協力は、二国間関係の要となり、経済的な結びつきを深める可能性があります。

同時に、ベトナムは、トランプ政権の財政・金融政策が生み出す、より広い課題にも対応する必要があります。ドル相場の変動は、ベトナムドンの管理相場に圧力を与え、ベトナム製品の輸出価格競争力や輸入コストに影響を及ぼし得ます。また、ベトナムは、米財務省の為替報告書(2025年6月6日公表)で引き続き「監視リスト」に入っており、対米貿易黒字の大きさや経常収支の状況を理由に、為替政策に対する米国の視線が厳しくなるリスクもあります。

海外直接投資(FDI)

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Photo: The Economic Times

写真:The Economic Times

海外直接投資(FDI)も、ベトナムの経済成長において重要な役割を果たしており、トランプ政権の政策は、この分野にも間接的な影響を及ぼしています。企業がサプライチェーンを多様化し、中国への依存を減らそうとするなか、ベトナムはFDIの魅力的な投資先となっています。ベトナム側の登録ベースでは、米国企業はすでに製造、技術、サービスなどの分野で120億米ドル超を投資しているとされます(米国側の統計では、2022年の対ベトナム直接投資残高は35億米ドルと、集計方法によって大きく異なります)。この流れは今後も続くとみられ、ベトナムの産業成長と経済の強靭性をさらに後押しするでしょう。ただし、ベトナムが信頼できる貿易・投資パートナーとしての地位を維持するためには、規制やコンプライアンス上のリスクへの対応が欠かせません。透明性のある慣行と、国際的な貿易ルールの遵守が、この複雑な局面を乗り切る上で不可欠です。

ベトナムと米国の経済関係には深い歴史があり、貿易・投資の結びつきは長年にわたり大きく拡大してきました。米通商代表部(USTR)によれば、2024年の米国とベトナムの財・サービス貿易の総額は約1,551億米ドルに達しました。このうち米国のベトナムからの財輸入は約1,366億米ドル(前年比19.3%増)で、ベトナムの主な輸出品は、繊維・衣料、電子機器、家具などであり、これらが一貫して貿易関係の成長を牽引してきました。一方、米国のベトナム向け財輸出は約131億米ドル(同32.9%増)で、原綿、大豆、ハイテク製品などが含まれます。サービス貿易も大きく伸びており、米国のベトナム向けサービス輸出は2024年に36億米ドルとなり、旅行、運輸、金融サービスなどの分野が牽引しました。

こうした印象的な貿易額にもかかわらず、トランプ政権第2期の政策のもとでの関税の賦課は、このバランスを崩す可能性があります。米国市場でベトナム製品のコストが上昇すれば、需要が冷え込み、ベトナムは新たな市場の開拓や、競争力を維持するためのイノベーションを迫られるでしょう。さらに、米国政権が貿易赤字や不公正な慣行の調査に重点を置いていることは、追加的な課題につながり得ます。輸出品に中国産の原材料を用いていることが、より厳しい規制上の監視を招く可能性があり、ベトナムは、これらの懸念に先手を打って対処する措置を講じる必要があります。

結論

今後のベトナムと米国の関係は、両国が変化する貿易環境にどう適応するかにかかっています。ベトナムがFDIを引きつけ、産業インフラを強化し、国際的な貿易ルールを遵守できるかどうかが、米国の重要な貿易パートナーとしての地位を維持する上で決定的に重要となります。米国にとっても、ベトナムとの均衡の取れた、互恵的な貿易関係を育むことは、アジア太平洋地域における戦略的目標にかなうものです。

トランプ政権第2期の政策は、関税を経済的・政治的目標を達成するための中心的な手段とする、世界の貿易パラダイムの大きな転換を意味します。ベトナムにとって、これらの変化は、課題と機会の双方をもたらします。自らの強みを生かし、潜在的なリスクに対処することで、ベトナムは、この複雑な局面を乗り越え、世界貿易の重要なプレーヤーとして発展を続けることができるでしょう。

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