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FDI・投資

医薬品産業の概況:ベトナムのセクター動向と2025年のFDI機会

ベトナムの医薬品産業は、製造能力の高度化や輸出を重視した…

David Lang 執筆者 Founder & CEO, Viettonkin; FDI and Fortune 500 Consultant
· · 1 分で読めます

ベトナムの医薬品産業は、製造能力の高度化や輸出を重視した政策を背景に、国際市場への対応力を高めつつあります。

有望な新興市場の一つとして、ベトナムの医薬品分野は外国直接投資(FDI)からも注目を集めています。その背景には、パンデミック後の医薬品開発に対する関心の高まりと、国内の医療・医薬品需要の拡大があります。

ベトナムの医薬品市場は、2026年までに約100億米ドル規模に達すると予測されており、今後も成長が期待されています。

主なポイント

  • 堅調な市場成長: ベトナムの医薬品市場は、2026年までに約100億米ドルへ拡大すると予測されています。
  • 製造能力の高度化: 国内メーカーでは、輸入医薬品との競争力向上や輸出拡大を目指し、EU-GMPなどの高度な製造基準への対応が進んでいます。
  • ETCチャネルが市場の中心: 病院を中心とする処方薬チャネル(ETC)は、医薬品売上の約75~76%を占めるとされており、ベトナム医薬品市場において重要な販売チャネルとなっています。
  • 活発なM&A: 多国籍企業は、既存の流通ネットワークや製造能力を活用するため、現地企業への投資やM&Aを進めています。
  • 政府による政策支援: 国家戦略では、2030年までに国内生産医薬品で国内需要の約80%を満たすことなどが目標として掲げられており、国内製造能力の強化が重視されています。

ベトナムの医薬品産業と市場構造

ベトナムの医薬品産業と市場構造

ベトナムの医薬品産業は、経済成長、政策環境、人口動態などを背景として拡大を続けています。外国投資家にとっても、ASEANのヘルスケア市場を視野に入れた事業展開を検討する上で重要な市場の一つとなっています。

また、医薬品の安定供給や医療へのアクセス向上という観点から、地域のヘルスケア市場におけるベトナムの役割も高まりつつあります。

市場成長とヘルスケア需要

DMSpro(2025年)の分析では、ベトナムは成長性の高い医薬品市場の一つとして位置付けられており、2023年~2028年の継続的な成長が見込まれています。

また、調査では66.6%の企業が2025年のベトナム医薬品市場について前向きな見方を示しています。市場成長の背景には、一人当たり医薬品支出の増加や、パンデミック以降の健康意識の高まりがあります。医療費の上昇も、医薬品への支出動向と市場成長に影響を与える要素となっています。

医薬品製造と適正製造規範(GMP)

ベトナムでは医薬品製造基盤の整備が進んでいます。2025年4月時点で、国内にはGMP-WHO基準を満たす医薬品製造施設が294施設あり、そのうち28施設がEU-GMPまたは同等の基準を満たす製造ラインを有するとされています。一方、より高度なGMP基準への対応には引き続き拡大余地があり、外国投資家にとっては、製造技術、工程の高度化、品質管理などの分野で事業機会が存在します。

医薬品製造においては、原薬生産・調達も重要な要素です。原薬の品質と安定性を確保するには、厳格な品質・規制要件を満たす原料メーカーとの連携が必要となります。

ベトナムでは、医薬品・医薬品原料の適正製造規範について通達第28/2025/TT-BYT号が規定しています。適用されるGMP基準とベトナム国内の規制を遵守することは、医薬品の品質、安全性、有効性を確保する上で不可欠です。

また、製造工程に統計的工程管理を導入することで、品質の監視、工程上のばらつきの把握、継続的な品質管理につなげることができます。

医薬品の流通・販売チャネル

ベトナムの医薬品市場は、大きく病院・処方薬を中心とするETCチャネルと、薬局などを中心とするOTCチャネルに分けられます。 STELLAの分析(2025年)によると、ETCチャネルは医薬品売上の約75~76%を占めています。

また、Kirin Capitalのレポート(2023年)によれば、2023年の病院向け医薬品入札総額は34兆7,060億VNDに達し、国内生産医薬品のシェアは26.2%でした。こうした市場構造は、高度な製造基準を満たす国内生産拠点を持つ製薬企業にとって、病院市場での事業機会につながります。

公立医療機関へ医薬品を供給する場合は、関連法令に基づく入札手続への対応が必要です。また、医薬品の集中調達では、複数の医療機関の需要を取りまとめることで、調達条件や価格形成に影響を与える仕組みも採用されています。

2025年のベトナム医薬品産業を形作る創薬・開発トレンド

イノベーションは、ベトナムの医薬品産業がより高付加価値な分野へ移行する上で重要な要素です。創薬、医薬品開発、デジタルトランスフォーメーションなどの動きは、新たな投資機会にもつながっています。新たな創薬ターゲットの探索も、革新的な治療法の開発を目指すベトナム医薬品産業にとって、重要な課題の一つです。

臨床試験の拡大と開発研究(R&D)

臨床試験の拡大と研究開発への注力

ベトナムは、コスト競争力やASEANにおける規制調和の動きを背景に、臨床試験の実施先として注目されています。研究開発では、ジェネリック医薬品やバイオ医薬品などが主要な分野となっており、多国籍企業にとっても研究開発コストや提携機会を検討できる領域となっています。

臨床試験の適切な実施は、医薬品開発プロセス全体において重要です。ベトナムでは、通達第29/2018/TT-BYT号に基づき、医薬品の臨床試験および適正臨床試験(GCP)に関する基準が定められています。

臨床試験では、第I相から第III相までの各段階において、安全性、有効性、副作用などが被験者を対象に評価されます。適切な臨床開発体制を構築することは、医薬品の承認可能性を高め、国際的な規制要件への対応を進める上でも重要です。

技術移転とEU-GMPへの対応

技術移転とEU-GMP転換への競争

DHG Pharma、Imexpharm、Bidipharなどの国内製薬企業は、高度なGMP基準への対応を進めています。EU-GMPなどへの対応には、相応の設備投資と技術的なノウハウが必要となります。そのため、技術移転、製造工程の高度化、品質管理システムなどは、外国企業がベトナム医薬品産業へ参画する上で重要な協業分野となります。

また、医薬品開発を担う高度なR&D人材の不足も課題となっており、外国投資企業が技術やノウハウを提供できる分野の一つです。

医薬品開発・マーケティングのデジタルトランスフォーメーション

医薬品開発・マーケティングにおけるデジタルトランスフォーメーション

AI、ERP、予測分析などのデジタルツールは、医薬品開発や事業運営の効率化に活用されつつあります。

医薬品マーケティングでも、データを活用したアプローチによって患者の医薬品へのアクセスを改善し、サプライチェーンを最適化する動きが進んでいます。

また、デジタルマーケティングでは、医師だけでなく、その他の医療従事者も含めた情報提供・コミュニケーションが重要となっています。

医薬品産業におけるFDIとM&A

外国直接投資(FDI)と合併・買収(M&A)は、ベトナム医薬品産業の製造能力や流通体制の高度化を支える要素となっています。

多国籍製薬企業は、現地企業が持つ製造設備や流通ネットワークを活用するため、投資や提携を進めています。

特に、技術移転を伴う戦略的投資やパートナーシップは、医薬品産業の高度化を進める手段の一つとなっています。

FDIおよび医薬品製造改革に向けた政策インセンティブ

ベトナム政府は、ワクチン、バイオ医薬品、新薬など、高度な医薬品分野への投資を促進する政策を進めています。2025年10月25日に施行された通達40/2025/TT-BYT号は、公立医療機関における医薬品入札について、新たな入札区分や技術評価基準を規定しています。

EU-GMPまたは同等の基準を満たす製造ラインで生産された医薬品や、一定の条件を満たす国内生産医薬品については、その基準に応じた入札区分・技術評価が適用されます。こうした制度は、国内で高度な製造能力を整備する企業にとって、病院市場へのアクセスを検討する上で重要となります。

また、医薬品特許プール(MPP)のような国際的な仕組みを活用した特許医薬品のライセンス供与は、必須医薬品へのアクセス拡大や価格面での負担軽減につながる可能性があります。

医薬品投資家向けViettonkinの視点

フォーチュン・グローバル500企業へのアドバイザリー経験を踏まえ、Viettonkinでは、ハイテク分野への投資、GMP基準に対応した現地企業との提携、利用可能な税制・規制上の優遇措置の活用を検討することを推奨しています。

また、医薬品に関する法規制や病院入札制度を理解し、規制当局への適切な対応を行うことは、事業成果を高める上で重要です。医薬品へのアクセス向上という観点からは、患者支援プログラムを検討することも選択肢の一つです。

2025年~2030年の医薬品産業の展望

医薬品開発の見通し2025~2030年とグローバルヘルスへの影響

ベトナムは、国内需要への対応に加え、医薬品輸出も視野に入れた高付加価値の地域製造拠点を目指しています。

医薬品業界を取り巻く環境が変化する中、ベトナムもイノベーション、規制対応、国際競争といった課題と機会の双方に直面しています。

2030年までの国家医薬品産業発展戦略と2045年ビジョン

Kirin Capitalのレポート(2023)、および「2030年までのベトナム医薬品産業発展国家戦略と2045年ビジョン」を承認した2023年10月9日付決定第1165/QD-TTg号に基づく国家戦略では、2030年に向けて以下の目標が掲げられています。

  • 国内供給: 国内生産医薬品で国内需要の約80%を満たし、市場価値の70%を占める。
  • 原料の国内生産: 国内の医薬品製造に必要な原料の20%を国内で生産する。
  • 輸出: 国内生産医薬品の輸出額を約10億米ドルまで拡大する。
  • 薬用資源の開発: 天然薬用資源の持続可能な採取地域を8地域整備する。

これらの目標は、国内製造能力を高めるとともに、ベトナムの医薬品産業をより高付加価値な分野へ移行させる方向性を示しています。

創薬・医薬品開発における課題

ベトナムの医薬品産業には大きな成長余地がある一方、R&Dインフラ、輸入原料への依存、人材不足などの課題が残されています。

こうした課題への対応として、官民連携や革新的な医薬品製造プロジェクトに対する支援策の活用が重要となります。

製薬企業にとっての投資機会

今後もベトナム医薬品市場の成長が見込まれる中、バイオテクノロジー、原薬生産、医薬品製造工程の高度化などは、FDIの主要な投資分野となる可能性があります。

結論:FDI・医薬品投資家が押さえるべきポイント

ベトナムの医薬品産業は、ジェネリック医薬品を中心とする市場から、より高度な医薬品開発・製造能力を備えた地域拠点への移行を目指しています。政策支援、コスト競争力、人材基盤などは、アジアで事業拡大を検討する製薬企業にとって重要な検討要素となります。

ASEAN全域で3,000件を超えるコンサルティングプロジェクトに携わってきたViettonkinは、市場参入、コンプライアンス、医薬品開発に関するパートナーシップまで、製薬企業のFDIを幅広く支援しています。ベトナム医薬品市場への参入にあたっては、成長機会だけでなく、規制、製造基準、流通構造を総合的に検討することが重要です。

よくある質問

ベトナム医薬品市場における外国投資家の主な事業機会は何ですか。

主な機会として、既存の医薬品製造施設をEU-GMP基準へ高度化することと、現地企業を対象としたM&Aが挙げられます。いずれのアプローチも、市場参入を迅速化し、既存の流通ネットワークや製造基盤を活用する手段となります。また、高度な製造基準への対応は、ジェネリック医薬品を含む製品の病院入札や輸出における競争力向上にもつながります。

ベトナムの医薬品M&Aでは、投資効果が表れるまでどの程度かかりますか。

案件によって異なりますが、財務上のクロージングには6~9か月程度、事業・組織面での統合には12~24か月程度を要する場合があります。ポートフォリオの最適化や流通網の拡大など、統合によるシナジーが投資成果として表れるまでには、2~3年程度を見込むケースもあります。

ベトナムでは新工場を建設すべきですか。それとも現地企業を買収すべきですか。

最適な選択肢は、企業の長期的な事業戦略によって異なります。現地企業の買収によるブラウンフィールド投資では、既存の許認可や事業ネットワークを活用し、より迅速に市場へ参入できる可能性があります。一方、新工場を建設するグリーンフィールド投資では、技術や製造工程を当初から自社の方針に合わせて設計できますが、より長い準備期間と現地規制への十分な理解が必要となります。

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